ケーススタディ
トモヱ乳業株式会社
Stratus® ftServer®は、乳製品加工工場の高トランザクション・短納期が求められるEDIシステムに安定した環境を提供しています。
創業以来、徹底した衛生管理の下、学校、一般家庭、職場などに安心・安全な牛乳・乳製品を届けているトモヱ乳業。鮮度が命のチルド商品を製造販売する同社では、良質な生乳本来のおいしさを届けるためにさまざまな取り組みを行っている。9割の商品が受注当日に出荷される極めて短いリードタイムを遵守し、安定供給を支える同社のICTシステム基盤は、ストラタステクノロジーの無停止型サーバ「ftServer」が支えている。
茨城県古河市に本社・工場を構えるトモヱ乳業株式会社は、市内の小中学校の給食に採用されるなど高い知名度を持つ乳製品・飲料メーカーだ。同社の歴史は1956年、当時経営難だった市乳加工乳の処理販売及び食肉ハムの製造販売を担う関東畜産工業株式会社に前社長 中田俊男氏が就任し、乳業専業メーカーとして再スタートしたことから始まる。茨城県の西端に位置する古河市は、県内で商売をするには難しい立地だった。しかし、この立地を強みに発展を遂げてきたと代表取締役社長 中田俊之氏は強く語る。「関東地方まで商圏を広げると、古河市はそのど真ん中に位置しています。当時は県を超えて販売するのは非常に難しい時代だったのですが、“生・処・販”が三位一体の関係を築いて信頼を勝ち取り、全方位に商圏を広げていったのです。」
“生・処・販”とは同社の企業ロゴにも表されている創業精神だ。1962年に現在の『トモヱ乳業株式会社』に社名変更した同社は、生産者、処理メーカー、販売者が三つ巴の関係を築き『安全で安心な牛乳・乳製品を通して社会に貢献する』ことを経営理念の1つの柱としている。増加する需要に対応すべく、1994年には現在の場所に最新鋭の設備を備える新工場を建設したが、急成長する同社にとってはすぐに手狭となり、第二工場建設計画が立ち上がった。
しかし、この計画は一旦白紙に戻ることとなる。「第二工場建設は2005年より計画していたのですが、2011年に発生した東日本大震災により改めて“安定供給”の大切さを実感し、一から設計を見直したのです」と、中田氏は当時を振り返る。こうして2013年に完成した第二工場は、無停電装置はもちろんのこと、敷地内に設けられた変電所や、震災時でも荷崩れしない立体倉庫システムなど、安定供給のためのさまざまな仕組みが盛り込まれている。
トモヱ乳業は一市乳工場で生産規模日本一を誇るメーカーとなった。しかし安定供給は製造設備の強化だけでは成り立たない。
受発注や生産に関わる情報を管理しているのはICTシステムである。安全で安心な牛乳・乳製品を安全供給するためには、ICTシステムの見直しが急務となっていた。
「当社のICTシステムは、幸いにも重大なトラブルが発生したことがなかったため、可用性対策が後回しになっていました。ビジネスの肝であるオンライン受発注管理システムもシングルサーバ上で稼働していたので、もしサーバ障害が発生したら、その日の生産から出荷まで全て止まってしまうリスクを抱えていました」と語るのは、営業部 システム責任者の廣木和人氏だ。牛乳・乳製品は鮮度が命となるチルド商品のため、リードタイムが非常に短い。「今日入った注文を今日出荷することも珍しくありません。出荷ピークタイムとなる12時~15時の間に1時間でも停止したら、多額の損失が発生し、ビジネスの致命傷となりかねません。そこでサーバリプレースのタイミングで、システム障害があっても止まらない高信頼性インフラ基盤を構築しようと検討を開始しました。」
廣木氏がオンライン受発注管理システムのサーバに挙げた要件は次の2つ。第一に、ハードウェア障害が発生しても業務が止まらないこと。第二は、障害発生時に人手を介することなく連続稼働し、復旧作業も簡単で手離れが良いことだ。「当社の工場は365日稼働していますが、情報システム専任の部署はありません。例え冗長化しても、システム障害発生時に人が切り替え対応をしなければならない仕組みでは、安定供給を担保できないと考えました」と、廣木氏は続ける。廣木氏が不在時に障害が発生しても運用を止めない『無人運転』を実現するサーバが求められていたのだ。
廣木氏が選択したのは、20年以上にわたりトモヱ乳業のICTシステムをサポートしてきた大興電子通信株式会社が提案するストラタステクノロジーの無停止型サーバ『ftServer』だった。
「当社の自動倉庫のシステム基盤にはアクティブ・スタンバイ方式を採用していますが、以前、障害が発生した際に手動で切替えなければならず、復旧作業に非常に苦労した経験があります。クラスタ構成も検討しましたが、ノウハウがないだ け で なく高コストに なってしまいます。ftServerは安定稼働率が非常に高く、ダウンタイムの発生自体を防止できる。保守対応時も運用を止める必要がなく復旧作業がとてもラクです。何よりも業務への影響を回避できる。当社の要件に合うのは『ftServer』しかありませんでした」と、廣木氏はftServer選択の理由を明かす。ftServerはハードウェアコンポーネントが完全冗長化され、2つのCPUが常に同期をとりながら同じタイミングで処理を実行するため、片方のコンポーネントに障害が発生しても、ミラーリングされたコンポーネントが処理を継続する。この際、システムの『切り替え』を伴わないため、OSや稼働しているアプリケーションには影響を与えない。ハードウェア異常や故障の検出から部品交換による完全二重化運転の再開まで、システムは影響を受けることなく連続稼働する。同社のEDIシステムだけでなく運用体制も含めたシステム全体の課題を熟知していた大興電子通信は、トータルコストを抑えつつ、トモヱ乳業が求めている安定供給を支えるシステム基盤としてftServerを提案したのだ。
「オンライン受発注システムは当社ビジネスの要。取引量も多く、ここが止まってしまうとビジネスが止まるだけでなく“生・処・販”の信頼関係にも影響を与えてしまいます。商品を安定供給するために、システムの安定稼働を担保することがいかに重要か。システム基盤は一番大事なスタートのところなのです」と、廣木氏は社長をはじめとする経営陣に説明し、ftServer導入を決めた。
トモヱ乳業では、まず1台目のftServerをインターコム社のEDIソリューション「Biware」のプラットフォームとして導入した。「本当に安心できます」と、廣木氏は笑顔を見せる。実は導入して約半年後に障害が発生したのだという。「私の帰社後にftServerに障害が発生していたのですが、何事もなく業務を続けることができ、翌日以降に保守対応しました。」
「『本当に人がいなくても大丈夫だ』と実感しました」と、廣木氏は振り返る。ftServerの連続稼働と手離れの良さをあらためて確信し、ファイルサーバのプラットフォームとして2台目のftServer採用が決まった。「当社のファイルサーバには生産管理データが保管されています。この生産管理データに従って日々の生産が行われます。生産ピーク時には時間単位で生産指示に調整が入るため、当社にとってはファイルサーバも基幹システムの一つと捉えています。したがってファイルサーバのリプレースのタイミングでftServerを採用することに決めました。まだまだIT投資が必要なところはありますが、弊社が掲げる安定供給の実現に向け、かなり前進したと思います」と、廣木氏は満足そうに語る。
創業60周年を迎えたトモヱ乳業では、200年企業の礎を築くべく、今後10年のグランドデザインを設定している。「第一は年商500億円の実現。2015年度の年商は345億円でした。10年後には500億円にしたい。そのためには関西の販路を拡充するほか、ミャンマーやベトナムなどのアジア地区への販路拡大も行っていきます」と、中田氏は意気込みを語る。そのほかにも健康付加価値商品の開発や健康的なブランド構築、牛乳の研究を通して牛乳の付加価値を向上させることにも取り組んでいく。
1994年より同社の敷地内に併設されている『牛乳博物館』には世界150カ国から収集した酪農乳業に関する珍しい品が5000点以上展示され、乳製品の発展やその歴史を身近に感じることができる日本で唯一の博物館として多くの来場者に親しまれている。『産業の中に文化あり』を経営理念に掲げる同社では乳文化の伝達を通して、積極的に地元文化の保存と発展に努めている。
「牛乳には健康を維持するためになくてはならない栄養素がバランス良く含まれています。当社の経営理念である『医食同源』の言葉のごとく、これからも健康の源を皆様にお届けしていくことが、医師としての私の使命だと思っております」と、医学博士でもある中田社長は熱く語る。
関東の乳業専用メーカーから、日本全国、さらにはアジアにも商圏を拡大し、牛乳の価値向上にまい進しているトモヱ乳業。200年企業に向けその歩みを止めることはない。
トモヱ乳業株式会社について
設立:1941年(昭和16年)に設立。
本社・工場所在地 :茨城県古河市下辺見1955番地。
従業員数 :280名(パート含む)※2016年5月現在。
URL: http://www.tomoemilk.jp/
ストラタステクノロジーについて
ストラタステクノロジーのソリューションは、エンタープライズサーバーからクラウドまで、アプリケーションに変更を加えることなく、常時稼働のインフラストラクチャを迅速に展開することを可能にします。ストラタスの製品(ソフトウェアおよびサーバー)とストラタスの人材を組み合わせることで、お客様はダウンタイムが発生する前にダウンタイムを防ぐことができ、24時間365日365日の継続した重要な業務のパフォーマンスを確保することができます。
詳しくは、www.stratus.com