ケーススタディ

京都岡本記念病院

検体検査システムの高信頼化と運用工数の削減を同時に実現
everRunが高いサービスレベルと止まらない安心を提供

「京都岡本記念病院」は各種外来診療から入院治療、救命救急など、京都府山城北医療圏の地域住民の健を守る基幹病院だ。同病院は2016年5月に新病院に新築移転する際、検体検査システムを刷新し、インフラ基盤にストラタステクノロジーの「everRun」を採用した。止められない医療システムのダウンタイムを最小化し、導入コストを抑えつつ運用工数を削減した京都岡本記念病院の成功事例。

課題

京都岡本記念病院は新病院への移転に伴い、検体検査システム「CLINILAN GL-2」(株式会社A&T社製)を刷新することになった。同病院では基本的に検体検査を外部委託せず、院内で対応するため迅速な検査結果報告が可能だが、検査機器だけでなく、電子カルテ、オーダリング、レセプトとも連携する検体検査システムのサービスレベルを維持するためには、障害発生時でも業務が止まらないシステムが不可欠だった。

同病院が信頼性を重視するのには、理由がある。以前、電子カルテシステムが停止してしまったことがあったのだ。「本番系サーバに障害が発生し、手動でスタンバイ機に切り替えたのですが、3~4時間のシステム停止が発生しました。そのときはカルテの記入を手書きで行い、なんとか医療業務を継続することができましたが、現在は手書きで業務を行った経験を持つ職員が少ないため、同じトラブル対応方法は機能しないでしょう。今はシステムが止まることは許容できない、それ程システムの信頼性確保は重要なのです」と、小西氏は語る。

同病院では、電子カルテをはじめとする基幹システムについては、一般的なHAクラスタの仕組みを用いてシステムを冗長化しているが、共有ストレージがシングルポイントとなっているため、ストレージに障害が発生すると、その復旧のために多くの工数がかかることが課題となっていた。

そこで、新システム基盤を検討する際に重視したのは、導入コストを抑え、運用負荷を低減し、高可用なシステム基盤であること、この3点だった。

「システム基盤は可能な限りシングルポイントを排除し、信頼性を高めたいと考えています。しかし、システムが複雑化し、運用負荷が高くなることは避けたい。今はネットワークにつながっている機器や連携するシステムが激増し、運用工数もコストも増える一方です。低コストで信頼性を高め、シンプルに運用できるシステムを探していました」と、医療情報・情報システム課・主任 医療情報技師の髙倉裕之氏は語る。

「京都岡本記念病院は、地域住民の健康パートナーとして、高度で質の高い医療を提供するために、常にサービスの向上に努めています。同病院は、Stratus everRun を導入することで、システムの信頼性を向上させ、運用管理時間を短縮しました。everRun のソリューションにより、献身的なスタッフと大切な患者さんをサポートするために、常に利用可能であるという安心感を持って、検体検査システムを運用・管理することができます。"
小西秀昌様
医療情報・情報システム部門長
京都岡本記念病院

解決策

そこで小西氏は、以前から同病院のインフラ基盤やネットワーク構築を支援しているSCSK株式会社に相談した。SCSKは確かな技術力とノウハウに基づき、顧客ニーズに合わせた提案でユーザの課題を柔軟にサポートするシステムインテグレータだ。そのSCSKが最適解として提案したのは簡単・堅牢・安価に高信頼性仮想化システムを実現するストラタステクノロジーの「everRun」ソフトウェアだった。

everRunはシンプルな構成で、運用はシングルサーバと変わらない。everRunがインストールされた2台のPCサーバをイーサネットで直結するだけでハードウェアや内蔵ストレージを二重化し、それぞれのサーバの仮想マシン上で稼動するアプリケーションおよびデータを常時ミラーリングし、サーバ間で死活監視を実施する。片方のハードウェアに障害が発生した場合には、もう一方のサーバが処理を引継ぎ、業務停止とデータ損失を回避する。

everRunは可用性のレベルに応じてFTモードとHAモードが選択できる。突然のサーバダウンなどの障害でも、FTモードならばメモリおよびCPUステータスの同期処理も実行しているため、アプリケーションは影響を受けることなく連続稼動し、業務の中断も回避できる。HAモードの場合にはフェイルオーバによりeverRunが自動で再起動を実施するため、人手を介さず業務継続が可能だ。外部共有ディスクが不要で、既存アプリケーションの修正や複雑なインストール作業も必要ない。導入が低コストで運用しやすい高可用性ソリューションだ。

結果

「everRunであればハードウェア障害でも業務停止が発生しません。疑似障害テストでは一瞬で本番系と待機系が切り替わり、障害が起きたことすら意識せずシステムは稼動し続けました。シングルポイントとなる外部共有ディスクが不要で、システム全体の冗長化が実現できます。構築期間が短く、コスト面・運用面を考えても非常に導入メリットの高いソリューションだと実感しました」と、髙倉氏はeverRun採用の経緯を振り返る。

「everRunを導入したことで、安心して検体検査システムの運用・管理ができています。また、シングルシステムと変わらない運用保守性で、工数の削減にも寄与しています。

「今後、順次さまざまなシステムをリプレースしていくことになりますが、そ のタイミングでeverRunのように運用しやすく低コストで構築できるシステム基盤を導入し、効率化を図っていきたいと考えています。システム運用の負荷が高くなる中、インフラ基盤の高信頼性を担保し、管理工数を削減することで、さらに本来の業務に注力していくことが可能になります」と、小西氏は語る。

everRun導入により、信頼性の向上と運用管理工数の低減を実現した京都岡本記念病院。地域住民の健康管理のパートナーとして、医療内容の充実と向上のための取り組みは今後も止まることはない。

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